※本記事は、リニューアル以前(旧・ムーサの芸術論)のアーカイブです。KAFUNの思考の原点として、当時のまま公開しています。

日頃からインスピレーション受けるモノ色々ありますよね。涼やかな秋の風、ベルベットの手触り、金木犀の香。

今日は、意匠としてのデザインの参考になるというよりも、「作者がインスピレーションをどう表現したか」という参考になるのでは?という作品をご紹介します。

お題は「月」。

作者は、’最後の浮世絵師’ とも言われる月岡芳年。その最晩年に8年かけて仕上げられたのがこちら。月をテーマに全100点の連作からなる大判錦絵《月百姿》シリーズです。

も細いリングのような新月からこちらのような画面いっぱいの巨大な満月まで、和漢の物語や詩歌、謡曲に見られる月が描かれます。

月を背景に天竺(てんじく)国の公主(姫)が偽物ときづいた孫悟空が如意棒をふりまわすと、あら!なんとその正体は月に住まう玉兎(ぎょくと)でありました。

戦ってるのに、ダンスのようでユーモラス。

月の兎の伝承は、中国やインド、タイ、ミャンマーなどアジア各地でつたわっています。

日本では望月とかけてお餅を打ってると言われますが、中国では玉兎は「不老不死の仙薬」をつくってるとか。

芳年がこの1枚で、感じていたのは

変転(その楽しさ)

とわたしは個人的に感じます。月が満ちた時にはすでに次のフェイズに変わっている。絵を見るとそんな入れ子になっているサイクルと同期する感覚がするし、それを生きてることが楽しくすら感じるような。

月百姿
月岡芳年
77. 玉兎 孫悟空
1885-1892

Trending